ケース スタディ

成長と拡大をサポートするためのデータガバナンスの導入

Keurig logo

80

ブランド数

600

商品数

2018

ドクター・ペッパー・スナップル・グループと統合

80

brands in total

600

product varieties

2018

merged with Dr Pepper Snapple Group

概要

Keurig Green Mountain は、バーモント州ウォーターベリーに本社を構える個人用飲料システムの分野でトップシェアを誇る企業です。Keurig には 80 のブランドがあり、パートナー ブランドと組み合わせて 600 種類の製品を提供しています。製品ラインナップの中には、アイスコーヒー、紅茶、ココア、乳製品飲料、レモネード、サイダー、果汁飲料などが含まれます。2018年、Keurig Green Mountain は Dr Pepper Snapple Group との合併を完了し、Keurig Dr Pepper という飲料業界で新しいことに挑戦する意欲的な企業となりました。

ビジネス課題

Keurig Green Mountain は急激な成長を遂げました。それは、売上面の急激な増益だけではなく、K カップ ポッドで自社のブランドをパッケージ化して販売するために Dunkin’ Donuts、Starbucks、Newman’s Own といた多数のベンダーとのパートナーシップが増加したことにも現れています。

過去 10 年間の着実な急成長には、GreenMountainCoeeRoastersが 2006 年に Keurig を買収したことが大きく貢献しました。Keurig は、老朽化した ERP システムに見切りをつけ、2013 年に SAP ERP への移行という選択をした企業です。同社は、マスターデータ管理 (MDM) 部門を設立し、組織全体におけるデータ メンテナンスに関する十分に定義されたプロセスと標準を導入しました。これにより、Keurig Green Mountain は、提携するパートナーの増加に伴うデータ量の増大という課題を抱える中、SAP ERP データ移行の一環として着手されたデータクレンジングの取り組みが成長を鈍化させないことを確実にすることができました。

「当社は驚くべきスピードで成長を遂げていたため、成長の継続と世界展開の拡大を可能にする強固な基盤を構築し、ビジネスプロセスの規範を策定する必要がありました」そう語ったのは、Keurig Green Mountain マスター データ管理ビジネスプロセス担当ディレクターの Eileen Hanafin 氏です。「当社の戦略的指針に合わせた SAP ERP への移行と、マスター データ管理の一元化は、そうした取り組みの一環でした」

Keurig Green Mountain がパートナー契約の強化を推進する前は、データ ガバナンス プロセスに関して、いわゆる「ヒーロー文化 (専門知識を持つ一握りの有能な人材に一部の仕事を完全に任せること)」に依存していました。基本的に、さまざまなグループのデータ提供者が自分の担当するデータ(顧客の記録、ベンダーの記録、重大なマスターデータなど)をセットアップし、そのデータを受領する部門 (配送部門や製造部門など) はデータに間違いがあれば修正し、正しい発注、正しい商品の出荷、正しい製品の生産を確実にします。「ヒーロー」と呼ばれるのは、特定のビジネスプロセスを所有することで会社に計り知れない価値をもたらすからです。

企業が成長の機会を追い求めることに全力を尽くしていたときは、ヒーロー文化が十分すぎるほど業務の円滑化を確実にしていました。しかし、受け取り側でデータを修正しても必ずデータ提供者にフィードバックされるとは限らなかったため、再現可能なプロセスではありませんでした。「ヒーロー (一部の有能な従業員) の専門知識頼みの文化にどっぷりと漬かったさまざまな部門の従業員が、自分の担
当するビジネス プロセスのためにデータ修正に関与するということは、データガバナンスが制限されることも意味しました」(Hanafin 氏)。

データ品質を向上すると、データを使用する側のデータへの信頼度が高まり、ビジネスプロセスを促進するため、より豊富な情報に基づいてビジネス上の意思決定を行うことができます。

“Precisely は、当社のガバナンスに関する戦略的方向性を確認する手助けをし、当社の進む道を示すビジョンを検証してくれました。”

Hanafin 氏

Precisely のソリューション

SAP ERP ロールアウト中にデータ ガバナンス をサポートするために、Keurig Green Mountain は Precisely に白羽の矢を立て、新しいビジネス プロセスをデータ ガバナンス フレームワーク内で調整する作業の手助けを依頼しました。Hanafin 氏によるとこれは重要であったといいます。というのも、SAPデータ量の増加に伴い、Keurig が異なるシステムの混在するデータ管理に戻り、SAP ERP のロールアウトから新たに発見された効率性と利点を失うことにならないようにする必要があったからです。

「Precisely は、当社のガバナンスに関する戦略的方向性を確認する手助けをし、当社の進む道を示すビジョンを検証してくれました。Data360 Govern を活用してガバナンス プロジェクトを実際の移行に関連付けました。2 つの要素を調整することが重要です。なぜなら、すべてのデータを洗浄して移行できますが、データをクリーンに保つためのプロセスを整備しなければ、最終的に価値の有無に疑問を持ってしまうからです。すると、最後には同じ場所に行き着くことになります」(Hanafin 氏)

厳格なデータ ガバナンス ルールおよびプロセスを移行と並行して設定することで、データの信頼性を継続的に確保し、価値を実現する時間を短縮しました。MDM 部門を設立することで、Keurig Green Mountain では中央に集約されたチームがすべてのマスター データの可視化、プロセスの構築、ルールの文書化、標準の策定を確実にすることができました。「当社はデータ メンテナンスからデータガバナンス部門へと移行したのです」と Hanafin 氏は語りました。「データを提供する側と使用する側がいることに変わりはありませんが、マスター データの管理を 1 つのチームに集約したので、品質スコアカードを作成してデータ品質を評価し、GS1 グローバル標準の遵守をより徹底することができます」

Coffee

データの問題がとても見やすくなりました。これまでは、修正したことがデータ提供者にフィードバックされることがあまりなかったため、同じミスが繰り返されていました。でも今は、ガバナンス部門がどのようにしてミスが起こったかを根本原因まで遡って追跡し、再発予防に努めているので、データの問題が減少しました」

Keurig Green Mountain MDM 部門テクニカルディレクター Claire Doyon

結果と将来設計

「MDM 部門はデータを所有しません。私たちがデータを統括します」と Hanafin は説明しました。「私たちの責任に含まれるのは、データ プロバイダーがどのような種類のデータをいつ提供するかを正確に理解するように、彼らを教育することです。ワークフローの自動化により、データ品質の向上も促進されます」

また、マスター データを一元化することで、再現可能なプロセスを期待することもできるようになりました。信頼性と可視性の向上により、データ ガバナンス モデルの活性化にむけてシフトしやすくなります。1 回限りのデータ修正が減るということは、似たようなミスが繰り返されることも少なくなることを意味するからです。

Keurig Green Mountain の MDM 部門テクニカルディレクターの Claire Doyon 氏は次のように述べています。「データの問題がとても見やすくなりました。これまでは、修正したことがデータ提供者にフィードバックされことがあまりなかったため、同じミスが繰り返されていました。でも今は、ガバナンス部門がどのようにしてミスが起こったかを根本原因まで遡って追跡し、再発予防に努めているので、データの問題が減少しました」

Keurig Green Mountain は、ホット ドリンク ビジネス向けの段階別プロセスの開始時に、受注から売り上げ回収までのプロセスを SAP ERP Financials でリアルタイム処理することにしました。続いて、すべての KOLD (ドリンクメーカー) をSAP ERP でリアルタイム処理することにしました。Keurig は、一貫性のあるデータ戦略および標準に関する企業文化全体に合わせて完全自動化されたプロアクティブなデータ ガバナンスを実現するためのデータ ガバナンス戦略を邁進しています。

「その戦略は、最適なビジネス価値を実現するための予定表です」と Hanafin 氏は胸を張ります。「当社は、ビジネス プロセスに対して一貫したアプローチを取り、システム全体に一貫性を持たせています。このアプローチ各事業部全体で大成功を収めましたが、今後は継続的な改善を重視しつつ、より高度な標準化および自動化へ向けて機能を移行していきます」

Data360 Govern

信頼性の高いデータに基づき、ビジネス成果を向上させるために、データを積極的に検索、理解、管理する強力なガバナンスフレームワークを確立します。

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